- ポイント
~作曲家 平野一郎の世界 2023~
そらのおと うみのいろ
作曲家の平野一郎さんは、長年にわたって日本列島各地を巡り歩き、それぞれの土地で経験した祭礼とその音楽や、古くから伝わる神話や伝説の探究をもとに、唯一無二の音楽世界を展開してきました。その創作姿勢は、クレー=ベンヤミンの“歴史の天使”にならい、過去の一切にじっと目を凝らしながら背後に続く未来へと後ずさりする、“うしろむきのアヴァンギャルド”を旗印としています。人間性の解放を軸に進展を遂げた西洋音楽の美質を受け継ぎつつも、私たちの風土に生きた先人たちが自然との交感によって培った伝承世界の精神性を今日的表現に昇華し、音の中に真摯に取り戻そうとする平野作品は、日本人が西洋音楽に携わることの意味をアクチュアルな問題として根源から問い直し、その葛藤の坩堝から新たな地平を拓くものです。平野作品の響きと調べに身を浸し、聴き感じていると、太古から未来にわたる森羅万象が、まるで奇跡を目の当たりにするように皆様の眼前に広がることでしょう。そして、私たちの中に眠っている意識が目覚め、世界の中の日本、万物の中の人間を再発見するような喜びを、無意識のうちに感じとるかもしれません。 驚くべきことに、本公演が平野さんの初の東京個展となります。「空野」op.1 (2001) から最新作に至るまで、創作の原点とも言える弦楽とピアノの作品をお聴きいただきます。一見典型的な西洋楽器と編成から、その奥底に宿る東洋起源の響きを掘り起こす独自の世界観を味わっていただけると思います。平野さんはこれまで京都を拠点に活動されてきましたが、多様性・多面性・多元性に溢れた日本文化の融通無碍でユニークな特質を体現する平野作品は、日本の最先端を担う東京でこそ紹介されるべきであり、これを機にさらに広がりを見せると確信しています。是非お楽しみに足をお運びいただけましたら幸いです。主催〈Code=“Shanti”〉
平野一郎作曲
・空野 (2001) ヴァイオリン (成田達輝)
・二つの海景 (2004/2007-2011) ピアノ (佐藤卓史)
・ウラノマレビト (2003) 弦楽四重奏 (成田、對馬佳祐、安達真理、山澤慧)
・双子の鳥 (2022) ヴァイオリン二重奏 (成田、ジドレ)
・アマビヱ (2020) ヴィオラ、ピアノ (安達、佐藤)
・獏の舟 (2022) チェロ (山澤)
・鱗宮 (2006) ピアノ五重奏 (成田、對馬、安達、山澤、佐藤)
【公演ホームページ】
https://www.tokyo-concerts.co.jp/
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