- ポイント
とのまわり
【あらすじ】
何十年もの間、家族を大切に生きてきた菊池加奈子(いとうあさこ)。彼女はある日余命宣告をされると、その3日後に「彼氏をつくる」と言葉を残して忽然と姿を消してしまう。長いあいだ苦楽をともにした夫や子どもとの時間を選ばず、人が変わったように最期を謳歌する加奈子。
出ていかれた家族はもちろん戸惑うが、どこにいるのか手がかりがない。そんなある日、従兄弟の正太(森一弥)が偶然、三鷹の病院で加奈子を見つけてしまう。まず息子の正太を連れて病院へ行くと、見知った加奈子とは豹変した派手な出立ちで、宣言通りに彼氏を作っていた。しかもどうやら、彼氏の守屋栄一(松田大輔)も同じく、余命がわずかだという。栄一の娘・東子(清水麻璃亜)も見舞いに来て、「何で最期を家族と過ごさないの?」と問い詰めるが、何も答えない栄一。加奈子と栄一、余命の限られた二人には何やら…よく分からない共通の意志があるようだ。
それぞれの家族は、1番の身内が最期にとった思わぬ行動に、沢山のことを考えさせられる。「今までの生活は我慢選手権だったの?」「自分たちは最後を過ごすパートナーにふさわしくないの?」猜疑心や虚無感に襲われてしまう。
そして命の際の際。いくら考えても分からない問いを放って、家族は感情に任せてぶつかった。「最後くらい一緒に過ごそう!」と必死に諭すが、それでも加奈子はきかない。
加奈子と栄一。二人が終末に行き着いた境地とは何なのか?
「うちの家族はこうだ」と、ほぼ手を打ちかけていた家族の物語に、ヘンテコなラストシーンがひっついてしまった、そんな物語。
生と、死と、愛と、時間。
大切なことはすべて、「と」のまわりで起こっている。
【公演ホームページ】http://yamadajapan.com/
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